学長挨拶

 

岐阜市立女子短期大学は、女性人材の高等教育機関として78 年の歴史を刻みながら、既に17,000 人を超える有為な人材を社会に送り出してきました。

一方で私たちの社会は、現代の情報社会に次ぐ新しい将来像、すなわち昨今のデジタル技術とともに創造するSociety5.0 という「人間一人ひとりが多様な幸せを実現できる社会」に向けて大きな変革を遂げようとしています。その原動力として期待されるのが、いわゆるZ 世代と呼ばれる貴方たちの世代なのです。このような将来像の中で、現代の若者に必要となる資質・能力とはどのようなものでしょうか?

我が岐女短も変革の時代を迎えました。2023 年度から、これまでの4 学科を3 学科体制へと改編し、未来を見据えた人材育成に向けて、新たな教育体制を整えることになりました。教育目標として「社会において、一人ひとりが、生きたいと思う人生を描き、これを実現する」を掲げ、次の3 つのチカラを涵養する教育を行います。

  1. 多様な価値観を許容するチカラ:多文化共生社会を担うための他者への理解力と許容力
  2. 新たな価値を見出すチカラ:専門分野の知識・技能を社会で活用するため、新たな価値を見出す想像力、思考力、そして実践力
  3. 共感と協調により繋がるチカラ:社会や地域に貢献するためのコミュニケーション能力と主体性と協調性

この教育目標の達成に向け、皆さん個々人が作成した「学修ポートフォリオ-成長の記録-」に沿って、所定の単位数を修得し、教養と専門分野の知識・技能を身に付け、3つのチカラを涵養すべく、教職員が一丸となってケアします。加えて、以下の方針に基づくカリキュラムを用意しました。

  • 入学後一年次の前期は、学科全体を俯瞰する教育を、後期から専門領域の教育を行う。
  • 専門領域に配属後も、学科・領域を超えた幅広い学びを許容する。

  • 全学生に対しデータサイエンス教育を提供する( 現代社会への対応)。
  • 「 岐阜学」を通し、地域をフィールドにした専門実践学習を経験する( 地域実践力の育成)。

国際コミュニケーション学科では、国際社会や地域社会で活躍できる、知識、技能、コミュニケーション力を、健康栄養学科では、老若男女に栄養指導ができるよう、栄養、運動、休養の3分野の包括的な専門力を、デザイン環境学科では、持続可能な社会の実現に向け、デザインの意義を理解し、地域産業の発展に資する知識と能力を修得することを目指します。

一方では、現代社会に溶け込み、次の時代をけん引できる人材となっていただくため、ICT,データサイエンス, AIといった情報の基礎知識を皆さん全員に身につけていただきます。過去には知識や情報そのものが最も重要視された時代もありましたが、現代ではスマートフォンなどのIT 端末を使って、あらゆる分野の歴史や最新のデータを容易に得ることができます。次の時代を担う皆さんには、単なる「もの知り」ではなく、現代社会において「解決すべき課題を見出す力」、そしてその解決に向けて「仲間と協働して取り組むことができる力」を育んでもらいたいと思います。

入学後には前述の学修ポートフォリオの作成にあたり、現時点での「貴方の目標」を記述してください。目標を明確に持っていれば、その目標は努力次第でいつか達成できる時が来るでしょう。逆に、目標のないところに目標の達成はあり得ません。ぜひとも貴方自身の目標を明確に持って、この2 年間の大学生活を送るようにしてください。

大学では、貴方の時間は全て貴方自身の「自己実現」のために使うことができます。卒業して就職すると給料という報酬が得られる一方で、貴方が所属する会社や組織のために人生の多くの時間とエネルギーを費やすことが要求されます。若く活力の漲る青春時代に、貴方自身の「自己実現」のためだけに全ての時間を使える貴重な2 年間であることを意識して大学生活を送って頂ければと思います。

本学の全教職員も喜んで貴方たち一人ひとりの「自己実現」の過程をお手伝いさせていただきます。皆さんのこれからのご健闘を期待しています。

岐阜市立女子短期大学学長
畑中 重光